地域包括ケアシステムが抱えている課題について
地域包括ケアシステムは、地域全体で高齢者・要介護者の介護や介護予防の取り組みを行う環境のことです。このシステムが有効に機能することによって、高齢者が快適な暮らしを送ることができるだけでなく、高齢者の家族や介護施設の負担を減らせるといったメリットも得られます。しかし、こうしたコンセプトは非常に魅力的なのですが、まだまだ十分に機能しているとは言えない段階です。現在抱えている最大の課題は、認知度が低い点でしょう。
比較的新しいコンセプト・取り組みというのもあるのですが、実際問題としてこの地域包括ケアシステムという名称を知っている人がどれだけいるのか?まして、コンセプトの内容を知っている人がどれだけいるのか?となると、まだほとんど普及していないレベルと言ってもよいでしょう。知っている人が少なければ浸透もうまくいかず、浸透しなければ環境を築いていくこともできます。認知度・浸透度の観点から見れば、まだスタート地点にすら立っていないといっても過言ではありません。
それから、どうしてもつきまとう介護業界での人手不足です。地域全体で介護の環境を築いていくことで介護業界の負担を減らすこともできるわけですが、一方で介護業界が医療機関やボランティア、一般市民などと連携したうえでの環境の構築が求められます。こうした環境の構築を行っていくうえで十分な人材を確保できているのかとなると、残念ながら人材が不足していると言わざるを得ません。そして、行政が手動する取り組みにどうしても付きまとう横の連携の不足。本当に医療と介護、行政機関、ボランティア団体などがうまく連携しながら取り組みを機能させていくことができるか。まだまだ、未知数と言わざるを得ません。
地域包括ケアシステムに欠かせない地域包括支援センターとは
地域包括ケアシステムとは、介護が必要な高齢者を地域の専門家だけではなく、地域住民も一緒になって支えるための仕組みです。各自治体で積極的な取り組みが行われています。その中で重要な役割を担っているのが、地域包括支援センターです。地域包括支援センターの運営を行っているのは、全国の市町村または市町村からの委託を受けた法人です。全国に5000か所以上あると言われています。地域包括ケアシステムで高齢者の暮らしを支えるための重要な拠点となっています。
地域包括支援センターは、地域包括ケアシステムに関する包括的な相談窓口です。ケアマネージャーや社会福祉士、保健師などが配置されています。高齢者の介護、医療、福祉などについて相談をすることができます。では、地域包括支援センターはどのような活動を行っているのでしょうか。地域包括支援センターが行っている事業は、包括的支援事業と介護予防支援事業に大きく分けることができます。包括的支援事業として高齢者からの相談を受け、適切な支援が行われるように手配を行います。また、虐待被害を防ぐなど、高齢者の権利の侵害を防止します。
介護予防支援事業は、介護予防ケアマネジメントとも呼ばれています。これは、高齢者が要介護状態になることを防ぐ活動です。介護予防ケアマネジメントは、プロセスを経て行われます。まずは該当の高齢者や家族と面談を行い、改善点を洗い出します。そしてプランを立て、関係者と調整を行い、実際にサービスを提供します。このように高齢者に寄り添い、より良い暮らしを送ることができるように支援を行っています。